介護業界は慢性的な人手不足が続いることから、外国人労働者を受け入れようという動きが進んでいます。しかし、対人サービスである介護職において、外国人労働者を受け入れることに反対意見を持つ方も少なくありません。そこで、反対派の意見と、外国人労働者を受け入れる問題点について解説します。

外国人労働者は介護業界でも増加傾向にある

介護職に外国人労働者を受け入れる取り組みは、ここ数年で拡大しています。政府が打ち出している介護職の受け入れ制度と、介護職に就く外国人の増加傾向は次の通りです。 

◇EPA（経済連携協定） 
EPAはインドネシア、フィリピン、ベトナムの各2国間で経済活動の連携強化を図るもので、介護職では2017年で約1,000人が介護職に就いています。2008年度では約100人でしたが、2017年度では約700人と7倍も増えている状況です。 

◇在留資格「介護」 
在留資格「介護」は、介護福祉士を養成する学校に「留学」資格で入国し、2年以上学んで資格を取得することで「介護」資格を取得できる仕組みです。これによって介護福祉士養成学校の外国人留学生が急増し、今や6人に1人が外国人といわれています。 

◇外国人技能実習制度「介護」 
外国に日本の技術を移転することを図る外国人技能実習制度は、2017年から介護職での受け入れを開始しました。開始当初は2人からスタートしたものの、2018年10月には約400人が介護職として入国しています。 

◇特定技能「介護」 
2019年4月新設の「特定技能・介護」は、介護の知識や技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。介護の技能と日本語能力の試験を受験し、合格すると介護施設等で5年間まで働くことができます。また、外国人技能実習制度で入国した場合でも、同様の試験に合格できれば特定技能資格に移行することも可能です。 

介護業界で外国人労働者受け入れを反対する人たちもいる

労働力を外国人に頼る傾向が強くなっている反面、以下のような反対意見を持つ方も少なくありません。 

・日本語能力や介護能力が満たない外国人が介護に参入すると、介護の質が低下する 
・人手不足を解消する目的で外国人を受け入れても、求められる介護のニーズに対応できない場合がある 
・安い労働力を入れることで、日本人職員の賃金低下を招く恐れがある 

このように、日本語能力や介護の専門的な知識などにおいて、外国人を安易に受け入れることを問題視する意見があります。また、外国人を受け入れることで、かえって日本人職員が離職するのでは、という懸念もあるようです。 

介護で外国人労働者を受け入れるにあたっての問題点

介護で外国人労働者を受け入れる前に、以下の問題点があることを把握しておきましょう。 

・日本語の細かなニュアンスが伝わらない。 
・外国人に専門的な仕事を任せるのが不安なので、掃除など誰でもできる仕事をさせている。 

これらの問題点により、介護業界で外国人労働者の受け入れに反対する人たちもいるようです。 

まとめ

懸念や問題点はあるものの、介護人材が不足していく中で日本人はもちろん、外国人の力も必要と考えられます。働き手と利用者が満足できるように課題を解決していくことが大切です。