介護コラム
介護職員初任者研修の資格とは?取得するメリットや方法を解説
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少子高齢化が進む日本では、介護業界の人手不足が大きな懸念材料となっているのが現状です。これを受けて他の業界から介護職への転職や就職を希望し、介護の仕事を始めようとする方もいるのではないでしょうか。介護の資格を持っていない場合や未経験の場合に、介護職への入り口として設けられている資格が「介護職員初任者研修制度」です。介護職員の制度については見直しが行われ、2013年度からは介護職員初任者研修を含めた新制度のもとで研修や資格取得が進められています。本記事では介護職員初任者研修の資格について、旧ヘルパー2級から変更になった点や資格取得の方法、資格を持つことで得られるメリットなどを説明します。
介護職員初任者研修の資格とは
介護職員初任者研修の資格は介護の知識や技術を身につけるために、初期段階に取得する資格として位置づけられています。
2012年度までは「旧ホームヘルパー2級」が介護職員初任者研修に相当する資格でした。しかし、制度改正により2013年度からは正式名称や研修制度が変わったため注意しましょう。
ホームヘルパーの資格として使われていた旧ホームヘルパー1級や3級、介護職員基礎研修も同様に名称が変更されています。制度変更前に取得していた場合は、資格の名称が変わっても「介護職員初任者研修課程」修了と同じ資格として見なされます。
介護の仕事は、特に資格を持っていなくても就くことが可能です。介護の仕事内容のうち、掃除や料理などの生活するうえで必要な家事一般である生活援助は、無資格でも業務を行えます。
ただし、介護サービス利用者の身体に直接触れる身体介護は、介護の資格がなければ行うことはできません。資格を持っていない方が幅広い介護の仕事をしていきたい場合は、はじめに介護職員初任者研修を受講して資格を取得すると良いでしょう。
介護職員初任者研修修了の資格を取得すれば、介護の基礎的な知識や技術を身につけたという証明になり、身体介護を含む介護の仕事に就くことが可能になります。
ヘルパー2級との変更点
介護職員初任者研修と旧ホームヘルパー2級について、名称以外の変更点には何があるのかを説明します。介護に関する基本的な知識など、主なカリキュラムの内容には大きな変更点はありません。
変更された点の大きな違いは、旧ホームヘルパー2級にはなかった修了試験が、介護職員初任者研修には設けられたことです。
旧ホームヘルパー2級は、全てのカリキュラムを修了すれば資格を取得することができました。しかし、介護職員初任者研修では、カリキュラム終了後に「修了試験」を受験し合格しなければなりません。この修了試験は介護に関する知識を得ることが目的なので、講習内容をしっかり学べば問題ないでしょう。不合格になった場合には追試験を受験することも可能です。
また、介護職員初任者研修では5日間の実習がなくなり、スクーリングによる講義時間が増えました。その分、旧ホームヘルパー2級よりも通学時間が多くなっています。また、受講科目に追加されたのが「認知症の理解」です。高齢化により認知症は増加傾向にあるため、介護職員には専門的な知識を学ぶ必要性が高まっています。これを受けて、認知症の利用者への対応が可能な人材の育成のために設けられました。
未経験でも介護職員初任者研修の資格取得は目指せる?
介護職員初任者研修を受講するために必要な要件や実務経験は、特に求められていません。年齢や学歴、介護の業務経験を問わず、何も資格を持っていなくても研修を受講できます。定められているカリキュラムすべてを受講し、修了後に修了試験に合格すれば資格取得が可能です。そのため、誰でもチャレンジしやすい介護の資格と言えるのではないでしょうか。
旧ホームヘルパー2級にはなかった修了試験が気になるところですが、出題されるのは介護職員初任者研修のすべての研修を受講し、ポイントを把握していれば分かる範囲の問題です。レポート課題をしっかりと提出し、試験前に復習をするなど試験対策を行っていれば合格できる可能性が高いでしょう。
介護職員初任者研修の資格を取得するメリット
介護職員初任者研修の資格を持っていることで得られるメリットは多くあります。就職する際に無資格よりも信頼感が増すだけでなく、正社員や給与アップを目指す場合にも有利になるでしょう。
また、介護において身体介護をするには資格が必須となるため、対応できる業務の幅も広がります。介護職員初任者研修は介護の資格の中でも最初に取得できる資格なので、実務経験を積みながらさらに上位の資格取得を目指すことも可能です。
ニーズが高まる高齢化社会において、メリットの多い資格なので取得しておいて損はないでしょう。
就職に有利、給与アップの可能性
就職や転職で求人に応募する際には、資格の有無が採用基準の中でも重視されるポイントです。正社員の求人の場合は、資格を保有していることを採用の条件にしている会社もあります。資格を持っている方が、就職や転職先を選ぶときにも選択肢は間違いなく広がるでしょう。
何よりも研修を受講し学んだ内容は自分の身につくため、仕事においても習得した介護の知識や技術をすぐに生かせます。
給料についても資格がある方が無資格よりも高くなるのが一般的で、資格手当が付く場合もあります。パートやアルバイトの場合でも、介護職員初任者研修の資格がある方が時給は高くなることが多いため、介護職に就くなら資格取得を目指すのがおすすめです。
身体介護などできる業務の幅が広がる
介護職員初任者研修では130時間の講義と演習を受講します。その内容は、職務の理解や介護の基本のほか、老化・認知症・障害への理解、こころとからだのしくみと生活支援技術等について学ぶものです。
介護に携わるうえで、基本的とはいえ専門的な理念が理解でき、利用者への接し方も学べる貴重な機会になるでしょう。
また、カリキュラムのなかでは身体の仕組みについての基本も学ぶことができます。講義と演習は、介護業務に必要な基礎的知識や生活支援技術を習得しているか確認しながら、一体で行われます。老化による身体の変化や医療についての基本的な知識も学ぶため、怪我や病気についての知識や予防、対処法なども身につくというメリットも大きいでしょう。
さらに上の資格を目指せる
介護職員初任者研修は介護の資格で最初に取得できる資格です。そのため、実務経験を積み上位資格にチャレンジして取得すれば、正社員での採用や給与が上がる可能性が高くなります。
国は介護職員が専門性を磨きキャリアアップするために、上位の資格である実務者研修や介護福祉士の制度を設けています。実務者研修のカリキュラムは、初任者研修の内容をさらに専門的に深めたものです。
実務者研修は、介護職員が介護福祉士を目指すためのキャリアパスとして設けられました。450時間のカリキュラムを受講したのちに介護業務に3年間携わることで、国家資格である介護福祉士の受験資格を取得できます。介護職員初任者研修を修了していれば、実務研修の講義のうち130時間が免除される仕組みです。
介護・福祉の業界で職に困らない
日本の少子高齢化の進行は早く、国は団塊の世代が75歳以上となる2025年には国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると予想しています。このような超高齢化社会になることを見据えたときに、将来的には介護職員の需要も高まることは間違いないと言えます。
このような社会情勢を踏まえると、介護の資格を取得していれば就職や転職の際にも困ることはないでしょう。介護業界の人手不足は慢性化している状況でもあるため、未経験でも有資格者であれば有利に働くことになります。
ほかの業界からの転職を検討しているなら、介護職は求人も多く選択肢が幅広いので資格取得を目指すことで多くのメリットが得られるでしょう。
自分の家族の介護にも役立つ
高齢化社会では自分の家族が要介護になる可能性も高くなり、誰しも介護の機会が全くないとは言い切れません。
家庭で介護をする際に、介護初心者は専門的な知識がないままに自己流で対応してしまいがちです。介護職員初任者研修では、介護の基本である人の身体や心の生活支援技術を学べます。研修で学んだ知識やスキルは、自分の家族を介護するときにも役立つというメリットがあります。
介護職員初任者研修では、排泄、入浴、食事など、生活するうえで欠かせない動作を介助する技術を講義だけでなく演習も行いながら学べます。そのため、介護職に就く場合はもちろん、自分の家族など身近な方を介護する際にも習得した知識や技術を役立てることができるでしょう。
介護職員初任者研修の資格を取得するには?
介護職員初任者研修の資格取得には、定められているカリキュラムを修了したのちに修了試験に合格することが必要です。
介護職員初任者研修課程は、都道府県知事などが措定した自治体や社会福祉協議会、民間企業などで行われています。カリキュラムの内容は全国一律で、すべての過程を修了後に修了試験を受講し合格すれば修了資格を取得できます。
介護職員初任者研修の資格を取得するには、講座を実施しているスクールのほかに、通信講座の受講や職業訓練で学ぶ方法があるため、自分の都合に合わせて無理なく受講することが可能です。
スクールには平日や土日コースなどがあり、土日コースであれば3~4カ月で修了するスケジュールもあります。通信講座の場合は1カ月で修了できる場合もあるので、短期間に学びたい場合に利用すると良いでしょう。
ただし、通信講座で修了するためには通信講座に加えてスクーリングにも通わなければなりません。スクーリングの場所やスケジュールも併せて確認しておくことをおすすめします。
介護職員初任者研修の資格取得にかかる費用は?
介護職員初任者研修の資格を取得する費用は、研修を実施しているスクールにより異なります。費用には幅があり、一般的には6~15万円程度の実施校が多くなっています。
ハローワークでは無料で受講できる研修を紹介している時期もあるので、まずは地域のハローワークへ問い合わせてみるのが良いでしょう。
また訪問介護事業所などが介護職員初任者研修を実施しているケースもあり、費用負担は受講者の一部負担や無料などさまざまです。無資格で働いている人やこれから介護の仕事を始める人に対し、資格取得後に事業所で働くことを前提に研修費用を補助するケースもあります。
介護職員初任者研修を実施する時期も事業所やスクールによって異なるため、ライフスタイルに合わせて無理なく受講できる費用や時期を選びましょう。
まとめ
介護職員初任者研修は未経験・無資格でも取得できる介護職の入り口となる資格です。取得しやすい資格とはいえ、介護職員初任者研修の資格を持っていると多くのメリットが得られます。
資格があれば無資格よりも介護業界への就職や転職に有利になり、給与も上がる可能性が大きくなるでしょう。身体介護も可能になるので、対応できる業務や職場選びの幅も広がります。国によるキャリアアップ制度も整備されていることから、上位資格を目指しながら介護に従事できるため仕事にやりがいを感じられることもメリットです。
介護職員初任者研修の修了資格を持っている人なら、就職や転職の際の求人件数も増えるため自分の希望に合う職場を選べる可能性も増すでしょう。
介護職への就職・転職を考えている方は、介護職員初任者研修の資格を取得するのがおすすめです。
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