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医療介護求人メディケアキャリア 介護コラム 介護業界で“脱ハンコ”の動きが進んだ場合のメリットとは

公開日:2022年07月06日 |  更新日:2022年07月06日

介護業界で“脱ハンコ”の動きが進んだ場合のメリットとは

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介護業界で“脱ハンコ”の動きが進んだ場合のメリットとは
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超高齢化社会といわれる現代日本では、介護業界の市場規模は年々拡大しています。

市場規模が拡大すれば、当然業務量も増加するため、近年では介護業界全体で業務のデジタル化および「脱ハンコ」の動きが加速化しています。

他の業種に比べてデジタル化の遅れが著しいといわれる介護業界ですが、脱ハンコの動きが進んだ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

今回は、介護業界のデジタル化によって考えられるメリットについて解説します。

介護業界で「脱ハンコ」が加速化する背景

インターネットが広く普及している現代では、どの企業でもペーパーレス化が進んでおり、書類の電子データ化は当たり前のことになりつつあります。

企業文書を電子データ化・ペーパーレス化するクラウドサービスを展開するペーパーロジック株式会社が、東京に本社をもつ企業を対象に実施したアンケート調査によると、「契約書や申請書類など紙の書類をPDF化している」と回答した企業は全体の7割以上に及んでいます。[※注1]

中には、電子署名やタイムスタンプなどを付与した電子ファイルで契約を交わすなど、すでに脱ハンコを取り入れている企業も見受けられます。

ところが、介護業界では書類の電子データ化やペーパーレス化の歩みが遅く、大多数の事業所は今なお紙文書の作成や押印といったアナログ業務を主流としています。

他の業種に比べてデジタル化が進まない原因は複数ありますが、最たる理由のひとつは、行政に提出する書類に対して押印が求められているためです。

介護事業を行うにあたっては、都道府県や指定都市、中核都市、市区町村などに「指定申請」を行い、介護事業者として指定を受ける必要があります。

また、介護サービスの利用者が介護保険を利用した場合、介護事業者は費用の1割を利用者へ請求すると共に、残り9割分を市町村および国保組合が共同設立した国民健康保険団体連合会に請求しなければなりません。

これを「介護給付等の請求」といい、介護事業者は毎月1日~10日の間に、介護給付費明細書を添えて介護給付費請求書を提出する必要があります。

いずれの書類も押印が求められるため、書類そのものはシステム等で作成しても、印刷・押印というアナログ業務を省くことはできないのが実状です。

[※注1]:ペーパーロジック株式会社「『ペーパーレスに伴う2020年度予算』に関するアンケート調査」

https://paperlogic.co.jp/news_20200107/

政府が介護事業所の「脱ハンコ」を後押しする方針を決定

年々加速化する少子高齢化により、介護業界は慢性的な人手不足に陥っています。

公益財団法人 介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査(平成30年度)」によると、介護サービスに従事する従業員の不足感は67.2%と過半数を超えており、過去5年にわたって増加傾向にあります。[※注2]

こうした介護業界の問題を鑑み、厚生労働省は介護現場の事務負担の軽減および業務の効率化を目的として、2020年11月13日に、介護業界の「脱ハンコ」を推進する方針を固めました。

 

具体的には、介護施設・事業所が行政に提出する指定申請、報酬請求に関する全ての書類について、押印欄が削除されます。

この4日前に開催された審議会では、ケアプランや各サービスの計画書、重要事項説明書などで必要な同意を介護サービス利用者やその家族から得る際に求められる押印についても、原則として不要とする方針を掲げており、介護業界の「脱ハンコ」を強く後押しする姿勢を見せています。

 

[※注2]:公益財団法人 介護労働安定センター「平成30年度『介護労働実態調査』の結果」

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2019_chousa_kekka.pdf

介護業界で「脱ハンコ」が進んだ場合の3つのメリット

では介護業界で「脱ハンコ」が進んだ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは介護業界における「脱ハンコ」がもたらすメリットを3つご紹介します。

1.本来の業務に集中できる

介護業界は慢性的な人手不足に悩まされているうえ、書類の作成・押印に多大な時間を要することから、従業員1人あたりに大きな負担がかかっていました。

脱ハンコが進めば、事務処理にかかる時間を大幅に削減できるため、要介護者のケアや、介護予防の取り組みなど、本来の業務に専念できるようになります。

2.長時間労働の削減につながる

全国労働組合総連合がまとめた「介護労働実態調査 報告書」によると、日勤の従業員のおよそ8割が始業前・就業後ともに時間外労働していることが明らかになっています。[※注3]

脱ハンコが進めば、書類の処理にかかる時間が短縮されるため、長時間労働の削減につながります。

[※注3]:全国労働組合総連合「介護労働実態調査 報告書」

https://www.zenroren.gr.jp/jp/kurashi/data/2019/190424_03.pdf

3.コストを節約できる

紙書類の作成・印刷には、用紙代やインク代などのランニングコストがかかります。

書類への押印が不要になれば、わざわざ書類を印刷しなくて済むため、紙書類の作成にかかるコストを節約することができます。

「脱ハンコ」が進めば介護業界が抱える問題を解決できる

介護業界で「脱ハンコ」の動きが加速化し、書類のデジタル化が広く普及すれば、事務処理にかかる手間と時間を大幅に省くことが可能となります。

従業員1人あたりの負担が軽減されれば、労働環境が改善され、離職率の低下も期待できます。

ただ、書類のデジタル化にはシステムの導入やITスキルの習得が必要不可欠です。

政府の方針により、今後は介護業界全体で業務のデジタル化が進むことが推測されますが、いかにスムーズに「脱ハンコ」のシステムを導入していくかが今後の大きな課題として注目されています。

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