介護コラム
介護職のキャリアアップ方法を徹底解説!給与はどのくらい変わる?
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介護職は、資格未取得・未経験でもスタートできる仕事です。しかし、できる仕事は取得している資格によって異なり、介護職としてキャリアアップを望むのであれば介護の経験を積むとともに資格の取得が必要です。介護に関連した資格は数多く存在しており、取得する資格の種類によってさまざまなキャリアアップの道があります。
そこで本記事では、介護職のキャリアアップの流れやキャリアアップに必要な資格の種類をはじめとして、保有資格によって異なる給与などの情報も解説します。
介護職の代表的なステップアップの流れ
介護の現場では、施設や業務内容によっては無資格からでも働けますが、介護の知識や技術を証明できる資格を取得することで、明確なステップアップが可能です。まずは、介護職員として代表的なステップアップの流れを介護の資格とともにご紹介します。
1.介護職員初任者研修
介護職がステップアップするためにまず取得しておきたいのが、介護の基本的な知識と技術を身につけられる介護職員初任者研修の資格です。この資格を取得すると介護の現場でできることが増え、仕事の幅が広がります。
入門的な資格ではありますが、施設によっては資格手当の対象となり給与アップが期待できます。これから介護職として経験を積みたい、将来的にステップアップを望んでいる場合は、スタート資格にあたる介護職員初任者研修の取得は必須といえるでしょう。
介護職員初任者研修の資格を取得するには一般的には3カ月程度の学習が必要で、実技を含む10科目130時間のカリキュラムを受講します。カリキュラム修了後に修了試験に合格することで、資格を取得できます。
なお、介護職員初任者研修はかつてのホームヘルパー2級と同等の資格なので、ホームヘルパー2級をすでに取得している場合は改めて取得する必要はありません。
2.介護福祉士実務者研修
「実務者研修」と呼ばれることもある介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格にあたる資格です。介護福祉士実務者研修の受講には要件が定められておらず、初任者研修と同様に介護未経験でも受講可能です。また、受講にあたる資格取得も不要なので、介護職員初任者研修を受けずに介護福祉士実務者研修のみの取得ができます。
介護福祉士実務者研修は上位資格であるため学ぶべき科目や時間数が多く、20科目450時間のカリキュラムを修了しなければなりません。介護職員初任者研修の資格を取得していれば、介護福祉士実務者研修のカリキュラム130時間が免除されます。介護職員初任者研修と同様に通信のみでの取得は不可能で、必ず通学して受けなければならない科目が含まれています。
介護職員初任者研修と異なるのが、介護福祉士実務者研修では修了試験は義務付けられていない点です。カリキュラムをすべて修了すれば資格が取得できますが、スクールによっては修了試験を実施していることがあります。
3.介護福祉士
介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修を経て次に目指す資格となるのが、介護福祉士です。介護福祉士の資格は介護のスペシャリストともいわれ、介護の資格で唯一の国家資格です。
介護福祉士の資格を取得していれば介護の専門的な知識を証明でき、介護施設でも即戦力として活躍できるほか、管理職などのリーダー職、新人教育を担当できるなど仕事の幅が広がります。
介護福祉士の資格を取得するには、3種類のルートがあります。1つ目は指定の養成施設で2年以上、1650時間程度の学習後に受験する「養成施設ルート」、2つ目は福祉系高校で1190時間程度の学習で、所定の単位を取得後に国家試験を受験する「福祉系高校ルート」、そして3つ目が介護福祉士実務者研修の資格取得かつ3年以上の実務経験で受験資格を得る「実務経験ルート」です。
しかし、養成施設ルートや福祉系高校ルートで資格を取得する人は多くはなく、介護福祉士の資格取得者のおよそ9割は実務経験ルートが占めているといわれます。
介護福祉士の国家試験では筆記と実技がありますが、介護福祉士実務者研修の資格取得者など要件に該当すれば実技が免除されます。
介護職の保有資格別の給与平均
介護職の給与は、保有する資格によっても額が変わります。厚生労働省が実施した令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、介護施設全体での保有資格別の平均給与は以下のような結果でした。
・保有資格なし:26万8680円
・介護職員初任者研修:30万240円
・介護福祉士実務者研修:30万2430円
・介護福祉士:33万1080円
働く介護施設によっても給与額は変動するものの、平均給与額だけで比較しても、上位資格ほど給与が高いということがわかります。
参考:厚生労働省.「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
介護職からさらにステップアップを目指すには?
介護職として基本となる資格を取得した後も、知識やスキルを身につけることでさらなるステップアップが望めます。介護職として上を目指すなら、以下の4種類の道があります。
介護福祉士としてキャリアアップを目指す
介護福祉士は介護の上位資格ですが、介護福祉士の資格取得後もさらにキャリアアップを目指すなら、より専門的な上位資格の取得するのも1つの方法です。介護福祉士がキャリアアップのために取っておきたい資格には、以下の5種類の資格があります。
認定介護福祉士
認定介護福祉士とは、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構が実施する、介護福祉士の上位資格です。介護福祉士として培ったスキルや知識を活かした介護施設のマネジメント業務や介護職員の教育・指導を行うことで、専門職として介護サービスの質を高めて介護のプロフェッショナルとして活躍したい方は、取得をおすすめします。
認定介護福祉士の資格を取得するには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要です。その上で600時間のカリキュラムを受講しなければならないため、5年以上の実務経験がある方でも取得までに1年半~2年ほどかかります。
医療介護福祉士
医療介護福祉士とは、一般社団法人日本慢性期医療協会が実施していた民間資格です。実務経験1年以上の介護福祉士を対象に、16単位の講義と8単位の実習を修了し、認定試験に合格することで取得できました。しかし現在は資格取得のための講座は開催していないため、新たに医療介護福祉士の資格の取得はできません。
サービス提供責任者
サービス提供責任者は介護業界で「サ責」という略称で知られるポジションで、訪問介護事業所では40名の利用者につき1名以上の配置が義務付けられています。役職名であるため、「サービス提供責任者」という名称の資格は存在しません。
サービス提供責任者はケアプランに基づいた訪問介護計画書の作成やヘルパーの管理・指導・調整などを行う、訪問介護事業所のリーダー的役職です。場合によってはヘルパーとして介護の現場で働く機会があり、さらにケアマネジャーと連携して具体的な介護計画の立案も行うため、高度な介護の知識が求められます。
サービス提供責任者として働くには介護福祉士実務者研修または同等の旧ホームヘルパー1級、介護福祉士の資格が必要です。管理職的な立場なので役職手当が付き給与アップが望め、訪問介護事業所で重要な役職となるため、サービス提供責任者としての経験を積むことでキャリアアップにつなげられるでしょう。
喀痰(かくたん)吸引等研修
喀痰(かくたん)吸引等研修とは、カテーテルやチューブを使用して介護施設や訪問介護でたんの吸引や経管栄養を実施するための研修です。たんの吸引と経管栄養は医療行為であるため、基本的に介護職員はできません。
しかし、喀痰吸引等研修を受講することで、医師や看護師の監督の元であればこれらの医療行為が可能となります。喀痰吸引等研修の受講には条件がなく、介護福祉士の資格を持っていない方でも受講できます。
高齢化が進みたんの吸引や経管栄養を必要とする高齢者が増加しているため、喀痰吸引ができれば介護の現場での仕事の幅が広がるでしょう。
介護福祉士ファーストステップ研修
介護福祉士ファーストステップ研修とは、公益社団法人日本介護福祉士会が主催し、日本介護福祉士会に実施申請を行った団体が実施する研修です。介護福祉士のキャリアアップと小規模チームリーダーの養成を目的としており、資格取得後2年以上の実務経験を積んだ介護福祉士を対象としています。
介護福祉士ファーストステップ研修では、「ケア」「連携」「運営管理基礎」の3つの領域を200時間(1時間を45分の1時限とすることができる)かけて学び、筆記・口頭・実技試験とレポートで修了評価が行われます。
介護施設の管理者側にまわる
介護施設でのステップアップを望む場合、介護職員としてスキルアップする以外に管理者側にまわる方法もあります。
管理者・施設長
管理者や施設長は、介護施設の経営や管理などのマネジメント全般を担当する責任者です。施設内の主任やチームリーダーの上に立つ施設のトップとなる役職で、トップの采配で施設全体の雰囲気なども変わるため、管理者や施設長はリーダーシップとともに人柄も重視されます。
管理者は勤務する職員の管理やお金の管理、運営などが主な仕事で、施設長は介護の現場を円滑に回すために的確な指示や判断を行う役職です。
施設の種類によって管理者や施設長になれる条件は異なり、一部の施設では介護未経験者が施設長になるケースもありますが、基本的にはいずれの施設においても介護職としての実務経験が求められます。
介護事業経営者
上記の管理者や施設長は介護事業所に雇用されてトップとなる立場ですが、自分で独立・開業して介護施設を運営する場合は介護事業経営者として事業所のトップとして施設運営に携わります。自分自身の手で理想の介護施設を作りたい場合は、介護事業経営者として独立・開業すれば実現可能です。
介護事業経営者は経営に関する知識や資金の確保なども必要となるため、介護の知識や経験が豊富というだけでは厳しい可能性があります。しかし、高齢化が急速に進み介護の需要が急増している昨今、宣伝方法によっては集客が期待できるでしょう。
専門職を目指す
介護職からステップアップする道として、介護の知識を活かしてより専門的な職に就く方法もあります。介護福祉士の資格を取得した後に、さらに専門知識や技術を生かすには、以下に挙げる5種類の職種があります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
ケアマネジャーとも呼ばれる介護支援専門員は、要介護者や要支援者の状況に応じたケアプランの作成、自治体と介護施設やサービス提供事業所との連携を行うのが仕事です。
介護支援専門員になるには、介護福祉士からは5年以上の実務経験に加えて介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければなりません。さらに合格後1年以内に介護支援専門員実務者研修を受講し、都道府県に登録申請をしてはじめて、介護支援専門員証が交付されます。
介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は低く、受験までのハードルも高いため難易度の高い最上位の介護の資格といえますが、介護サービスに必須のケアプラン作成を担当する役割があるため、高い需要が見込める仕事です。
介護支援専門員としてさらなるキャリアアップを目指す場合、以下に挙げる3つの資格を取得する方法があります。
①認定ケアマネジャー
認定ケアマネジャーとは、介護支援専門員の資質向上を目的として一般社団法人日本ケアマネジメント学会が実施する民間資格です。介護支援専門員として3年以上の実務経験を持ち、日本ケアマネジメント学会が行う資格試験に合格することで認定家マネジャーの資格を得られます。
介護支援専門員の上位資格として、キャリアアップとともに主任ケアマネジャーを目指す方は取っておきたい資格です。
②主任ケアマネージャー
主任ケアマネジャーとは、ケアマネジャーの指導や育成などを担当し、同じ職場で働くケアマネジャーをまとめる専門職で、2006年の介護保険法改正により生まれた資格です。
主任ケアマネジャーになるには、各都道府県で実施されている主任介護支援専門員研修を修了しなければなりませんが、主任介護支援専門員研修を受けるには以下のいずれかを満たす必要があります。
・介護支援専門員として60カ月以上の実務経験
・ケアマネジメントリーダー養成研修修了かつ通算36カ月以上の実務経験
・主任ケアマネジャーに準ずる者として地域包括支援センターに配置されている
・都道府県からケアマネとしての知識と経験が認定されている
また、主任ケアマネジャーの資格は他の介護の資格とは異なり5年ごとの更新制なので、資格を持ち続けるには5年ごとに更新研修を受ける必要があります。
③社会福祉士
社会福祉士とは、心身にハンディキャップがあり日常生活に支障をきたしている人に対し、専門的な知識や技術を用いて福祉の相談や助言、指導などを行う役割を持ち、国家試験に合格することで取得できる国家資格です。
国家資格であるため取得までのハードルが高い分、給与アップが期待できる仕事で、介護施設のほか医療機関や学校などで働く機会も得られます。
生活相談員(ソーシャルワーカー)
ソーシャルワーカーという名称としても知られる生活相談員は、介護施設などの利用者とその家族に対する相談対応や手続代行、医療機関や他の施設との連携調整を行う、施設と利用者を橋渡しする役割を持ちます。介護支援専門員と同様にケアプランの作成を行うこともありますが、生活相談員はさらに幅広く連絡調整などを担当します。
「生活相談員」としての資格は存在していませんが、生活相談員として働くには社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格などを条件にしていることが多いため、介護の専門的な知識は必須です。
介護職を生かして他分野に挑戦する
介護職の知識や経験、資格は介護の現場にとどまらず、他分野でも活躍できる場があります。介護に加えてより専門的な知識や経験などが求められますが、介護の経験を活かして働けるでしょう。
看護師・准看護師
介護の仕事は看護と関わりが深く、看護師や准看護師と連携することも多くあります。介護職の仕事を通して看護への関心を持ち、スキルアップのために看護師または准看護師の資格取得を目指すケースも見られます。
看護師の資格を取得していれば看護計画の作成、介護職ができない注射や採血などの医療行為も可能です。
看護師と准看護師の資格はいずれも看護学校や看護大学を卒業した上で看護師国家試験に合格する必要があるため、決して簡単ではありません。しかし、介護の現場でも看護師の需要が上がっていることから、看護師の資格を取得していれば給与アップが望めるほか、着実なキャリアアップが期待できるでしょう。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
理学療法士とは運動機能が低下した方の運動機能回復や向上のためのリハビリ、作業療法士は食事や着替え、入浴などの日常生活を送る上で必要な動作のリハビリ、言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」のスペシャリストである摂食・嚥下の訓練や言語・認知訓練などを行う仕事です。
いずれも専門学校や大学などで所定の養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。そのため介護の資格よりも取得までに時間がかかりますが、国家資格であるためキャリアアップはもちろん、給与アップも望めます。
介護職からステップアップ後の給与平均
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果では、介護従事者のうち一般的な介護職以外の職種の平均給与額も示されています。以下で、常勤の場合の職種別の平均給与額をまとめました。
・介護職員:31万7540円
・介護支援専門員:36万1770円
・生活相談員:34万2330円
・看護職員:37万3750円
・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:35万4770円
介護職員と比較すると、その他の職種の方が平均給与額が高いことがわかります。つまり、資格を取得して知識や技術をアップすることは、給与面を含めて明確なステップアップが目指せるといえるでしょう。
参考:厚生労働省.「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
まとめ
介護職は未経験からチャレンジ可能で、介護職員初任者研修をはじめとした資格を取得しながら知識と経験を積んでキャリアアップが望めます。
国家資格である介護福祉士の資格を取得した後も、介護の現場で働く以外に管理者や専門職、介護の経験を生かした他分野で働く道もあるので、さまざまな場面で活躍できるチャンスがあるでしょう。
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介護職は資格を取得することで多くの道が開ける職業です。キャリアアップすることで給与アップも望めるので、自分のスキルを活かして介護業界で働きたい方は、今回解説した資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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