理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は医療リハビリテーションの国家資格です。

では「介護予防」という観点から見たとき、これらの職種にはどのような活躍が期待されているのでしょうか。

介護予防の観点とは

2005年の介護保険制度改革で介護予防の概念が導入されました。
介護予防とは、「要介護状態の発生をできる限り防ぐ（遅らせる）こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義されます。

この概念に基づいて高齢者の方々のリハビリは日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すことが求められています。

理学療法士に期待される活躍とは

理学療法士は「立つ・歩く」などの身体の基本動作に関するリハビリテーションの専門家です。身体の動きに障害のある高齢者の方に施設や訪問介護で個別に対応するだけでなく、理学療法士は要支援者や健康な方へのアプローチも求められています。

ほかにも要支援者や健康な方を対象とし、地域ケア会議や介護予防普及啓発教室への参加など、理学療法士としての専門的な知見を生かし、地域の介護予防に関わることが期待されています。

作業療法士に期待される活躍とは

作業療法士とは応用動作に関するリハビリテーションの専門家です。
応用動作とは服を着る・調理するなど基本動作を組み合わせたより生活に即した動作のことです。

また、作業療法士はデイケアや訪問介護で利用者の方の生活動作の評価や、介護予防教室での講師や地域ケア会議の参加などといった幅広い範囲で活躍できます。

利用者の生活の質を向上させ、精神的面の健康を支えることは、介護予防の観点からもとても重要といえます。
そのため作業療法士のますますの活躍が期待されています。

言語聴覚士に期待される活躍とは

言語聴覚士は、「話す・聞く・食べる」ことに関するリハビリテーションの専門家です。
言語障害や聴覚障害がある人に訓練や適切な補助器具を指導したり、食事を飲み込むのが難しい人に食べる訓練を行ったりします。

コミュニケーションや食事は生き生きとした生活を送るためにはとても大切です。
介護予防という観点からも利用者の方のＱＯＬを向上させるために言語聴覚士の活躍が重要です。

デイケアや訪問介護で利用者の方の聴覚機能や摂食機能の評価や訓練を行うだけでなく、介護予防啓発事業への参加および住民や介護施設の方を対象とした講師活動などが期待されています。

これらの専門職は医療リハビリテーションの専門家として介護現場での活躍が期待されています。
現場で利用者一人一人に向き合う活動や集団を対象にした啓発活動など、幅広い範囲で介護予防に取り組むことが求められると言えるでしょう。